エコキュートは電気の未来を予想して決めました

2024年2月18日

こんにちわ@・ェ・)めー。

住宅を購入するにあたってキッチンや内装をどうするかは悩ましいけど、エコキュートを真剣に比較検討する方は少ないんじゃないかと思います。

でも実はエコキュートの消費電力って想像以上に大きいんです。それを知ってわが家では電気代の観点でエコキュートを選びました。

この記事で伝えたいこと

この記事のまとめです。電気代観点でエコキュートを選ぶときにはこの2つを考慮しましょう。

電気代観点でのエコキュート選び

上位機種の採用がおすすめ。燃費が良いのでずっと電気代が割安です。

薄型は避けましょう。燃費が悪いのでずっと電気代が割高です。

エコキュートは機種によって給湯の効率が異なる

まずは同じ会社のエコキュートでも機種によって電気代が異なることを知っている人は少ないのではないでしょうか。

建物のオプションを検討する際に営業さんから渡される資料には「エコキュートの上位機種にはお掃除機能やマイクロバブルを出す機能があります」といった付加価値の説明があるだけで、機種によって電気代がどう変わるのかという記載は無い場合が大半かと思います。

ヒツジさん

三菱電機のエコキュートを例にお話しします
他のメーカーでも考え方は一緒です

エコキュートは年間給湯保温効率という性能表示があります。これは電気からお湯を作り出す効率のことで車でいう燃費と同じもので、この数値が高いほどお湯を作り出す効率が良くなります。

私が契約した時点で選択できるエコキュートは年間給湯保温効率が3から4.2の機種がありました。燃費が3と4.2では1.4倍の差があるので結構違いますね。この燃費の良い上位機種のエコキュートは少ない電気でたくさんのお湯を作り出すことができるので省エネといえます。

効率と電気代をみてみよう

ここからは電気代のお話です。電気の単価が高いほど給湯効率は電気代に大きな影響を与えます。燃費の良い車ほどガソリン代の値上げの影響を受けにくいと同じですね。

たとえば電気の単価を100円と仮定してエコキュートの電気代を考えます。この場合、効率3のエコキュートは電気代が33円必要になりますが、効率4のエコキュートは25円で済みます。もし電気の単価が200円になった場合はそれぞれ倍になって効率3は33→66円、効率4は25→50円になります。

効率3のエコキュートは33円の増加になりましたが、効率4のエコキュートは25円という具合に電気代の増え方に差が出ました。

これは最初から効率の良い給湯器を導入しておけば将来電気代が値上がりしたときに値上げの影響を緩やかにすることができるということになります。

エコキュートの電気代を試算する

オオカミさん

上位機種オプション費用の元は取れるのか?

それでは実際の電気代を試算していきます。まず前提条件ですが省エネ基準地域区分の6地域(関東南部、東海、瀬戸内海、九州北部など)に戸建てを建築して4人家族であるとします。

この条件では年間給湯負荷は16GJ程度のようです。16GJをkWhに変換すると4,444kWhになるのでキリよく4,400kWhとして電気代を試算します。

2022年時点で一条工務店で標準のAシリーズSRT-N375は年間給湯保温効率が3.2であるため1年間で給湯に必要な電力は4,400kWhを3.2で割った1,375kWhになります。

わが家の2023年の平均買電単価は28.45円でしたのでこれを元に電気代を計算すると

4,400kWh/3.2*28.45円=39,119円。1年間のエコキュートにかかる電気代になります。結構高いですね。

次に上位機種であるPシリーズのSRT-P375Bは年間給湯保温効率が4.2となるため、先ほどのAシリーズに比べて1.2倍効率が良くなります。同じように計算すると

4,400kWh/4.2*28.45円=29,805円。AシリーズとPシリーズは1年間で9,314円の差になりました

わが家が契約した2021年時点のオプション価格の98,780円は10.6年で回収できる計算になります。エコキュートの寿命は10年から15年と言われているのでちょうど買い換えの時期になり、オプション採用による金銭的な負担はほぼ無くなる試算結果になりました。

より現実的に電気代を試算する

電気代単価と値上げ

ヒツジさん

ところで最近電気代が値上げされているんですけど。。

先ほどの試算は2023年の電気代を基準に計算しています。家を建ててから10年、20年の間で電気代が同一価格というのはあり得ないでしょう。過去の実績から現実的な値上げを試算します。

資源エネルギー庁の資料によると電気料金の平均単価は2010年に21.39円だった単価が2021年に28.09円上昇したという記載があり、約10年間で電気代は31%も上昇していたことがわかります。これは1年間の上昇率が約2.9%になります。

2023年時点で電気代の単価は火力発電に必要な燃料(原油・LNG)価格に大きな影響を受けます。将来的に火力発電以外の発電シェアが大きくなれば状況が変わる可能性がありますが、新規発電設備の建造や普及を考慮すると10年以内に大きく変わることは難しいと考えました。総合的に判断して電力価格は10年程度緩やかな上昇傾向であると予想しています。

オプション価格の回収期間

この記事では控えめに見積もって1年目の買電単価を30円、価格は10年で20%の上昇を前提に試算します。

ヒツジさん

エコキュートごとの10年間の電気代を試算したよ
オプション価格は私が契約した当時の参考価格です

シリーズ年間給湯保温効率オプション価格
(参考価格)
消費電力
(kWh/年)
電気代試算
1年目
電気代試算
10年間累計
Aシリーズとの
電気代差額
Aシリーズ
SRT-N375
3.201,37541,250円451,676円0円
Sシリーズ
SRT-S375
3.863,800円1,15834,737円380,359円71,317円
Sシリーズ薄型
SRT-S375UZ
365,0001,46744,000円481,788円-30,112円
Pシリーズ
SRT-P375B
4.298,7801,04831,429円344,134円107,542円

オプション価格(98,780円)はおよそ10年以内で回収できる試算になりました。

この試算では太陽光発電や蓄電池を考慮していないエコキュート単体の性能による計算になります。太陽光発電と組み合わせて使うおひさまエコキュートでは結果が変わると思いますので、それぞれの環境に応じて計算を行うことをオススメします。

実際には使うお湯の量が少なければ差は縮まりますし、電気代は年間給湯保温効率に完全に比例したカタチにはならないと思いますが各シリーズの傾向はつかめると思います。

薄型のエコキュートは効率が良くない

実際に具体的な電気代を試算すると薄型のエコキュートは標準に比べて効率が良くないため日々の電気代が高いことがわかります。

お家を建てる土地が狭かったり、少しでも庭や駐車スペースを確保したい場合は建築士さんから薄型のエコキュートを提案されるかと思います。実際わが家も土地がギリギリなので最初は北側に薄型のエコキュートを置くという配置図面でした。

ですが、オプション料金の65,000円を払った上に月々の電気代を余計に払う…それならエコキュートを建物の南側に配置しようと考えました。一般的に土地の南側は日当たりが良いので庭にすることが多いと思いますが、わが家の土地は南側は隣家の影になって庭としては使うことができません。

薄型とはいえエコキュートは大きいので、土地の北にあったエコキュートを南に配置することで建物全体を少し北に移動することができます。結果として土地の南側にゆとりができて採光も良くなりました。

ヒツジさん

こーゆー理由で土地の南にPシリーズのエコキュートを配置して下さい

営業さん

わかりました
ここまでシミュレーションされる方は初めてです!

なぜ薄型は効率が悪いのか?

エコキュートラインアップ早見表を確認すると断熱の欄があります。エコキュート内部には高温のお湯を貯めておくのでお家と同じように断熱材で保温しているということですね。

サーモジャケットタンクというウレタン・真空断熱材を採用しているとありますが、注意事項として「角形の460L/370Lのみ」という記載があります。

Sシリーズ角形の370Lは年間給湯保温効率が3.8、460Lは3.8、550Lは3.2です。そして薄型は3.0。

Pシリーズ角形の370Lは年間給湯保温効率が4.2、460Lは4.0、550Lは一気に下がって3.3となっていました。

どうやら断熱は正義ということでウレタン・真空断熱材の有無が年間給湯保温効率に大きく関わっているようですね。

断熱性能が低いとせっかく沸かしたお湯がぬるくなるスピードが速いので、実際に使用できるお湯の量が減ることに繋がって多くの給湯が必要になってしまうことから年間給湯保温効率が低下していると考えています。

エコキュートを昼に沸かす設定にしていても沸かすタイミングは1日1回なので、次に沸かすまでの24時間はタンクのお湯がだんだんぬるくなっていきます。真空断熱材を使ってぬるくなる速度を抑えることで次の沸き上げに必要な電力も少なくて済みます。この観点でもPシリーズを採用すべきだと考えています。

他にもPシリーズを選ぶ理由はあります

他にPシリーズを選ぶ理由はあるのでしょうか。もちろんあります。ホットりたーん、ホットあわーです。

ホットりたーん

入浴後にお風呂のお湯から熱だけを取りだしてエコキュートのタンクへ戻す機能です。

お湯を直接戻すのではなく、熱交換器を使って熱だけをタンクへ戻すということはエコキュートで使えるお湯の量が少し増えることになります。翌日お湯を沸き上げる量が減って電気代の節約にもつながります。

カタログ等には風呂熱回収機能と記載されていて、これの有無で年間給湯保温効率が4.2と4.0で0.2の違いが出るそうです。気温が低いとエコキュートが使う電気の量は大きいため冬期の節電に役立つかなと思いました。三菱電機に問い合わせたのですが、冬は凍結防止運転で浴槽の水が循環される際に残り湯の温度によって消費電力は変わらないとのことです。気にせずホットりたーんで熱交換を行ってしまいましょう。

ホットあわー

Pシリーズだけがホットあわーというマイクロバブルを出す機能を持っています。湯冷めがしにくい・うるおいが続くと謳っているもので、ゆっくりと目に見えない泡も一緒に出してくれるというものです。冬の寒い日は気分的にも暖まり、趣味のロードバイクに乗った日は脚の疲れに効く気がします。

ホットあわーと追加工事費について

ホットあわーは施工の際にマイクロバブルを出すためには専用の配管を使っていることがわかりました。新築時点ではSシリーズにして、交換時にPシリーズにする場合は配管の新設が必要になり、別途費用(10万円くらい)がかかるそうです。

当初はAシリーズを選んでおいて将来交換する際に効率の良いPシリーズに換えようとしても約10万円の追加工事費が余計にかかってしまいます。追加工事費を電気代の効率で回収するのは現実的で無いため、その時にPシリーズを選ぶことは経済的に合理的ではない可能性があります。

新築時に最初からPシリーズを選択しておけば本体のオプション価格だけで済みますので、わが家は将来の交換も見据えてPシリーズ一択となりました。

ヒツジさん

少しでも電気代のかからない家づくりの参考になれば幸いです

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